アヤカさん、いつも演奏を聴いてくださっているとのこと、ありがとうございます。
「伴奏のある曲はイメージできるのに無伴奏になると難しい」というご質問ですが、無伴奏の曲も伴奏つきの曲も、本質は変わりません。無伴奏曲においても、伴奏(和声)がキーポイントとなるのです。
伴奏をつけてみる
無調の現代曲でない限り、どんな無伴奏部分にも和声が存在します。
まずは取り組んでいる無伴奏曲に伴奏をつけてみることをおススメします。
ピアノで和音を弾ければ完璧ですが、いきなりだとハードルが高いと感じるかもしれません。
そこで私が考案したのは、フルートデュオの曲だと思ってセカンドパートを考えるという方法です。
多少間違っていても構いません。楽譜を見るだけで浮かばなければ、歌ったり吹いたりしながらいろいろ試してみてください。
どうしてもいい音が当てはまらないところは保留にして良いですが、大抵そのような場所は転調のきっかけになっていたり、音楽が複雑に動くところです。前後のつながりを考えながら丁寧に音を当てはめてみると良いでしょう。
その場合、セカンドパートはつぎはぎだらけにならないように、できるだけ音楽的に自然なラインを目指してください。
大体考えられたら、実際にデュエットをします。私は、自分でそのセカンドパートを録音して、再生しながら一緒にソロパートを吹いてみていました。
大切なのは、セカンドパートも音楽だと思ってしっかり歌いながら演奏することです。そうすれば音楽の流れが自然に見えてきて、もともとのソロパートも楽に吹けるようになっているはずです。
和声進行の流れを感じて
少し難しい話に感じるかもしれませんが、なぜ和声を考える必要があるのかを少し説明しておきますね。
音楽には規則に則った和声進行というものがあり、これは自然界にも通じるエネルギーの流れを持っています。
例えば、最も基本的な『終止形(カデンツァ)』と呼ばれる進行はⅠ度ーⅣ度ーⅤ度ーⅠ度(Ⅰ度からⅣ度を経由してエネルギーはⅤ度に向かい、またⅠ度に解決する)という流れを持っています。イメージとしては「起立(Ⅰ)ー気を付け(Ⅳ)ー礼(Ⅴ)ー直れ(Ⅰ)」という感じでしょうか。起承転結という日本語もピッタリです。
Ⅴ度はドミナント=支配するという意味を持っていて、音楽全体を支配しています。
まずこのⅤ度の場所を把握して、そこに音楽の山場がくるように演奏設計する必要があるのです。テンポもこれに準じて変化させます。
歌っていると見せかけてこのような法則を無視した演奏はよくありますが、自由というのは規則の中に生まれるものなので、好き勝手演奏したのでは説得力がないと私は思っています。
先ほど自然界にも通じると書いたとおり、まだ数字をつけて分析するのが難しくても、流れをよく感じるようにすれば「ココに向かっているかも?」と気づけるはずです。
伴奏がある曲もない曲も、ぜひ音楽の自然な流れを意識しながら演奏してみてくださいね。
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