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執筆者の写真Yoshie Ueno

本番での緊張(精神的な面)



ニコさん、本番が終わるたびに後悔してしまうというのはとてもツライことだと思います。


私は、緊張を克服するためには、「身体的な面」と「精神的な面」の両方を分析する必要があると思っています。以前の回答(本番での緊張)では「身体的な面」について書いていますので、ぜひ参考にしてみてください。


さて、ご質問を読んでいると、ニコさんの場合は「精神的な面」を改善する余地があるように思います。どのような気持ちで本番に臨めば良いかを考えてみましょう。


プレッシャーは増えるもの

「以前は思いどおりにできたのに今はできない」ということですが、それはある意味当然のことだと思います。曲の難度や長さがステップアップすればするほど、乗り越えなければならない課題の量も増えていきます。 たくさんの課題に向き合いながら舞台に立つのは簡単なことではありません。不安やプレッシャーが増すのは、積み上げてきたものが大きくなっている証拠です。


初心忘れるべからず

とはいえ、過去の記憶は捨てて良いかというとそんなことはありません。


もし、以前は「フルート大好き!!」という気持ちで無邪気に演奏していたのであれば、その気持ちは絶対に忘れないでほしいです。


私も、キラキラしたフルートを持って初めて舞台に出たときの喜びを、今もよく思い出します。「初心忘れるべからず」は私の大好きな言葉です。どんなに大舞台で難しい曲を演奏するようになっても、初心はいつも持ち続けたいと思っています。


3つのコツ

というわけで、ニコさんは何も間違っていませんし、とても正しい成長の過程にあると思います。それを踏まえたうえで、具体的にどのように克服していけば良いか、私の考えを書いてみます。


1.作品の世界を表現することに集中する

コンクールや試験など、誰かと成績を競うような状況もあると思いますが、それは音楽の本来のあり方ではありません。

採点が気になってしまうなら、そんな時こそ、作品の本質を見つめることに再度集中してみましょう。どんな作曲家がどんな想いで作った曲なのかを深く学んでいけば、おのずと舞台でやるべきことは決まってきます。

点数などの結果を指標にせずに、作品の世界を最大限に表現することを目指しましょう。


2.聴いている人は楽しみに来てくれていると信じる

舞台に立つと、目の前のお客様が粗探しをしているような気がして怖くなることがあるかもしれません。

真剣に聴こうとしてくださっているときほど、そのピーンとした雰囲気を誤解しやすいように思います。もちろんたまにそいういう方もいるかもしれませんが、ほとんどの方は音楽を楽しもうと思って集まってくださっているはずです。

少しでも怖いなと思ったら、笑顔で聴いてくださっている方を探すのもおススメです。一緒に音楽の楽しさを共有する仲間だと思えれば、本番の雰囲気に飲まれることも減ると思います。


3.「これだけやったから大丈夫」と思えるくらい準備する

最終的にはもうこれしかありません。これだけやったから大丈夫と思えることを積み重ねていけば、舞台の上で自分を信じることができます。

私は練習だけでなく、普段の生活態度も全てが演奏に結びついているように感じています。

どんなに小さなことでもいいので自分に課題を定めてそれを毎日クリアしていけば、きっと大きな自信につながると思います。


自分を肯定すること

自分で定めた課題にきちんと向き合って、一つでもクリアできたことがあれば、ぜひ自分を肯定してあげてください。反省から学ぶことも多いですが、成功体験も大切です。


自分では良くなかったことばかり見えるかもしれませんが、きっと今も良いところはたくさんあるはずです。お友達や先生が褒めてくれたら素直に喜びながら、また自分の新しい課題に向かっていってくださいね。

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