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執筆者の写真Yoshie Ueno

譜読みの方法



質問者さんは音楽系の大学に通っているとのこと、課題も多くて毎日大変でしょうね。


私も学生時代はエチュードと曲の大量の楽譜を抱えて途方に暮れていた経験があります。もちろん今も、コンサートで新しい曲にどんどん携わっていくため、譜読みは日常の一部です。以下、文章が少し長くなってしまいましたが、何かのヒントになることを願っています。


物語のナレーターに置き換えてみる

いろいろと細かい方法を紹介する前に、まず、もし私たちが演奏者ではなく物語のナレーターだったら、と考えてみましょう。これまでに読んだことのなかったお話を限られた時間で把握し、誰かに伝えるためには、どのようにするでしょうか。


①雰囲気を掴む

もし物語なら、いきなり声に出して読む練習を始めませんよね。このお話がどのような内容なのかをまず考える(調べる)はずです。楽しい話なのか、悲しい話なのかetc....自分が知っているストーリーで似ているものを思い出したりもするでしょう。この段階で、全体の雰囲気に合った声のトーンやテンションも自然にイメージしているはずです。


②流れを把握する

物語だと、「起承転結」のようなパーツの組み合わせでできていることがほとんどです。

「桃から生まれて➡鬼退治に出発して➡鬼と戦って➡ハッピーエンド」というように、大体の構成がわかってこそスムーズに音読できるのだと思います。


③読む練習をする

ナレーターなら、ここでやっと声に出して読みながら、噛みやすい言葉や詰まりやすい所をチェックしていくでしょう。構成に合わせて声のトーンやスピードを工夫するといった作業もあるでしょう。


④全体を通す

本番さながらに通してみるのは最後の最後です。うまくいかないところがあったら、③に戻って部分練習をして、また通すという流れでしょう。


譜読みだと・・・?

ではフルートだとどうでしょうか。

もしかすると質問者さんは、いきなり「③読む練習をする」「④全体を通す」に入っているのではないでしょうか。「①雰囲気を掴む」と「②流れを把握する」の作業は誰しも飛ばしてしまいやすいのですが、ここをきちんと踏んでおくことがとても大切です。


①雰囲気を掴む

譜面を見て雰囲気をイメージできれば一番良いですが、時間がなければ、参考になりそうな動画や音源を聴いてみるのも手です。たとえエチュードでも、曲にはそれぞれ性格があります。譜面の最初に書かれた音楽用語を手掛かりにしなから、どんな曲かをイメージしましょう。


②流れを把握する

例えば古典派なら、提示部、展開部、再現部などに音楽が分かれています。また、そこまでハッキリでなくても曲調が変わる場所を見つけてみましょう。仕組みを知っておくことで流れある演奏ができますし、練習の計画も立てやすくなります。これは①の作業と同時に、音源などを聴きながらチェックしておくと良いと思います。


③読む練習をする

ここからやっと練習です。『気持ちが焦るとき』の記事にも書きましたが、ここではゆっくりが鉄則です。次の音をきちんと把握できるテンポ(強烈に遅い)から始めるのが私のおススメです。ゆっくり吹いてもつまずくところには必ずチェックをして、そこを抜き出して原因を探ります。音が跳躍しているところ、臨時記号がついているところは特につまずきやすいので、あらかじめ自分に分かるように小さく記入しておくと良いと思います。


④全体を通す

充分③の作業ができたなと思ったら、少しずつテンポを上げて通してみましょう。この時、一度通し始めたら絶対にやり直さない、止まらないが鉄則です。


最後に

質問者さんの先生は「できたところまでで」とおっしゃってくださっているとのことなので、例えば思い切って、「今日はテンポ〇〇(ゆっくり)で吹いてもいいですか?」とお願いしてみるのもありだと思いますよ。いろいろ抜け落ちながら速いテンポで吹くよりは、丁寧にゆっくり吹いたほうが先生もきちんと指導してくださると思います。


また、譜読みは得意or不得意の問題ではなく、方法論だと私は思っています。自分に最適な方法を見つけることでスピードも上がり、苦手意識も減っていくはずですので、いろいろ模索してみてくださいね。

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1 Comment


Camila Perkins
Camila Perkins
Aug 31, 2021

Hello maate great blog

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